Story1

2009年に農地法が一部改正されて以降、農業への民間企業の参入が相次ぎ、その数は2015年末時点で2000社にのぼっています。類農園は、これよりもはるか以前の1999年に設立され、三重と奈良に農園、大阪の2か所に直売所を展開。農業に参入する企業の8割が成果を出せないとも言われる中、類農園では生産から流通、販売までを一貫して行うことで農家の組織化を進め、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増大といった問題が山積する日本の農と地域の再生に向けて、確実に成果を積み重ねています。

いかに農家を巻き込むか

類農園の志は「地域の農業の核となり、活性化を図っていく」こと。従って、直売所も含め、運営の根幹をなすのは奈良と三重にある自社農場です。農業は土地管理、水管理、獣害対策など、あらゆる面で地域と一体にならなければ成立しません。農家をまとめる上でも、直売所という販路=売り先の確保が大きな魅力になるため、栽培部門と販売部門の両部門が密接に連携し、農家の組織化、巻き込みを図っています。

具体的には、販売部門で掴んだ顧客の期待を、栽培部門を通じて農家に伝えています。例えば、時期的に品薄になる作物が喜ばれること、逆に年間を通じた安定供給が固定ファンを生み出すこと、農薬を使用していなければ農薬不使用シールを貼った方が良いことなど。

こうしたやりとりを通じて、実際に農家の活力と収入は大幅に上昇し、奈良では新たに若手の生産者グループが耕作放棄地を借りて農地拡大に乗り出しました。三重では、人気のある品種を高値で買い取る提案をすることで、米作りを続ける決意をした農家もあります。また、栽培指導や苗の入手も支援し、独自に農家や地域とのネットワークの拡大、強化にも努めています。

そして、さらに目指しているのが、農家との「協働関係」から「追求関係」になっていくこと。それを実現してこそ、「自分たちで地域を作っていく」「守っていく」という主体的な強い地域となっていくことができると考えています。

「お客様の潜在思念にある志を刺激する」

類農園直売所彩都店店長
原大輔(2012年入社)

直売所で、農家の志やリアルな農業の実態を紹介すると、その生産者の店頭販売で驚異的な売上を記録しました。これは、顧客の商品選びの判断基準に「志」が加わったことを表していると思います。自然の摂理に沿った栽培など、顕在化している食への意識だけでなく、潜在的にも顧客は「農の再生、地域の再生、集団の再生」を願い、その一端を担うことを望んでいるのです。ただモノを売るだけでなく地域を超えて農の再生を考える、そのための情報を共有できる場としての役割も果たしていきたいと思っています。

顧客の共感を呼ぶ戦略

販売部門では、人々の意識潮流を掴むことにより、確実に作物を売ることを徹底しています。

通常の直売所の武器は、価格と鮮度。しかし、市場の価格競争に乗ってしまえば、農家の収入は増えず、経営も黒字化しません。

そこで販売部門では、他店と差別化を図っていくために「本当に期待されていることは何か」を掴み、発信をしています。具体的には「なぜ農薬や化学肥料に頼らない栽培をしているのか」といったものから、地域の農を考えている生産者にスポットを当てて、リアルな農業の実態やそこにかける生産者の志、さらには地域再生に向けての動きを発信することを意識しています。

そうした内容に共感してもらうことで、強固なファンになってもらう仕組みを作ったのです。

農業に参入した多くの企業が経営の厳しさに撤退を余儀なくされていく中、類農園の取り組みは徐々に成果を上げ、ついに黒字化が達成される段階まできています。顧客が求める商品を確実に届けること、そのための販売戦略、そしてそこに地域の農家を巻き込み、活力を上げていくこと。こういったことが類農園の考える「農の再生」であり、これからもその勝ち筋を体現していきます。

農園売り上げ推移