Story11

高度成長を経て、1970年以降豊かさを実現した社会は今、大きな転換期を迎えています。豊かさの追求が活力源となった時代の価値観や手法は急速に通用しなくなり、多くの企業が生き残りをかけて新たな可能性基盤を探索しています。オープン・イノベーションという言葉に象徴されるように、組織も自集団にこもっていては生き残れない時代。いかに未知の領域に思考を巡らせ、場の活力を上げていくか。類設計室は、経営課題や組織体制、営業戦略から先端の技術・設計、さらに運営まで一貫した生涯パートナーとして企業と共に追求していきます。

個人の思考を超える

2015年に竣工した堀場製作所「E-HARBOR」は、堀場史上最大の生産・開発施設。国内外に散在する拠点を統合し、世界戦略をリードする中枢「HORIBA GROUP World Headquarter Project」として建設されました。

市場が成熟していく中で経営層が見据えているのは、新たな技術の開発力と、そのための新しい事業体制の構築。こうしたクライアントの期待に応えるためには、設計事務所の役割も旧来の発想では対応できなくなっています。施設設計にとどまらず、市場を精緻に分析しながら時代変化を読み、経営から事業課題に直結する検討、企画まで一体となって行う必要があります。もちろん設計の中身も、「計画もデザインも、全てを開発と生産に繋げたい」という堀場社長の思いに応える空間を徹底追求し、具体的提案に変えていきました。

さらに、「技術の遷宮」と銘打たれたこのプロジェクトの特徴は、設計・建設の過程そのものが、同社の当事者意識と活力を向上させる人材育成プロジェクトに位置づけられたこと。今や、社会で直面するいかなる課題も個人の思考では突破できません。技術を培って来た上の世代と、未知の技術を引き継ぐ若い世代との恊働により、個人の思考を超えて新たな可能性を切り拓いていくことが意図されました。

その象徴となる空間が、建物中央を貫く何層もの吹き抜けになった「スカイアトリウム」です。カーテンウォール越しには琵琶湖の雄大な自然が広がり、無限の可能性を感じる環境の中で常に仲間を意識するとともに、随所に設けられたベンチエリアでいつでも仲間と追求できるように設えました。部門や世代を超える繋がり、技術の集積と統合の象徴として、日々社員たちの自覚と活力を生み出しています。

「個人の思考、企業の思考を超える」

ディレクター
1982年入社 本田真吾

現実の企業や生産活動の場で、「オープン・イノベーション」に期待されているのは、技術交換といった業務効率面だけではなく、相互触発や人間関係といったより本源的な意味での変革ではないかと感じます。

私たち設計者も、そこで働く方々の活力が上がるような建築設計を実現するには、常に同じレベルで会話ができるコアメンバーとなる必要があります。 自分たち自身が活力ある場の実現体であり、最先端で追求しているからこそ、異業種の方々をも得心させる志が提示できると思います。

ともに追求する場が活力の源泉

2014年竣工のアシックスジャパン本社ビルは世界にはばたく同社の新しい国内マーケティング拠点を作る目的で計画されました。

プロジェクトには初期段階から参画し、クライアントが受ける外圧や戦略を共有するところからスタート。施設にはアシックスのグループ企業が集結することから、グループの総力を最大限に引き出す場づくりを目指しました。そこで、社員の中に入り、グループ間の連携や新しい働き方をともに追求。場所や時間の制約なくフレキシブルに仕事に取り組める環境を整備したほか、コミュニケーションと活力を引き出す開放的なスペースを設置し、企業パフォーマンスを最大に高めました。

次代を勝ち抜く新たな武器、新たな可能性を発掘するために必要なものは、組織としての闘争力であり、それは成員一人ひとりの活力に規定されます。

類設計室は、設計者の立場を超えて企業と同じ地平に立ち、ともに追求することで、個人の思考の限界や組織の壁を突破する基盤を発掘します。日々の追求成果をもとに、建築の枠を超えて答えを導き出せる認識が、他社にはない強みです。