10/2・9実現塾「哺乳類の知能進化」はこんな追求に!
前回までの議論で、哺乳類は、置かれた状況に応じて、柔軟に集団形態を組み替えていることがわかってきました!(「哺乳類の集団構造」)
そこには相当な知能の高さが見られますよね!実際に哺乳類は、脳が著しく進化しており、他の生物に比べて、「大脳新皮質」がとても大きくなっているんです。
わたしたち人類もまさにその一員である哺乳類。なぜ哺乳類は知能を進化させることができたのでしょうか?
前回使った集団構造の資料も参考に(下記)、哺乳類に同化しながら、事実を検証しながら、まずは仮説を出し合ってみましょう☆
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■哺乳類が知能を進化させた要因は?
<仮説1> 外圧・外敵説
弱者だったから知能進化?外敵がいたから知能進化
魚類、爬虫類、両生類でも、小さい生物はみんな弱者で逃げ回っている。
人類の祖先であるモグラは土の中、サルは木の上で、外敵も多くない。
→外圧や外敵は直接的な要因ではない。
<仮説2> 内的機能説
哺乳類固有の特徴である、胎内保育・授乳などの子育てやスキンシップ(体を舐め合ったり、寄せ合ったり)。知能進化とのかかわりは?
<仮説3> 集団説
集団になったから。しかし“集団になれたから知能が発達?それとも、知能が発達したから集団になれた?”
土の中に隠れ住んだ原モグラを想像してみると…
彼らにとって、一番頼りになるのは、嗅覚や「皮膚感覚」。(土の中で、目は見えない。)
哺乳類以前の、魚や爬虫類、両生類の表皮は防御を優先(固いウロコ、ヌルヌルの皮膚)したが、哺乳類は“感覚機能”を優先した(毛を生やし、皮膚のすぐ下まで神経を伸ばした)。
哺乳類は皮膚感覚を最先端機能として発達させた。
皮膚は、形・温度・湿度・圧力…多様な情報をキャッチする総合器官。
・職人は、木材に触れるだけで、木の湿度や樹齢までもが分かる。
・車の板金を最後に仕上げるのも職人の手。ミクロン単位までキャッチする。
・母親は子供のおでこを触るだけで体温や健康状態が分かる。
皮膚感覚は識別機能が非常に優れており目や耳では識別できないミクロン単位までキャッチできる。
しっくりくるかどうか、【整合・不整合】を“判断”している。
赤くなる・青ざめる・鳥肌が立つ…などの肌の特質から分かるように、皮膚自体が駆動物質(欠乏)を分泌し、体に指令を出している。
他の感覚機能は、特定の情報を、脳に送るのみ。
★皮膚は、感覚器官であると同時に、“判断器官”そのもの。
その精度は非常に高い。(脳は思い込み、錯覚する。皮膚の方が確かな判断機能とも言える。)
○皮膚感覚と知能進化はどうかかわるのか?
多様な種が登場したカンブリア大爆発のとき目などの感覚機能は発達したが、それは脳の進化にそこまで影響しなかった。
皮膚は、視覚や聴覚よりも古い感覚機能であり、脳ができる前からある判断機能。
哺乳類が発達させた大脳新皮質は、皮膚の機能を、脳に転写したもの。
(腸も皮膚からできた判断器官。となると、脳は「第三の皮膚」とも言えるのでは?!)
皮膚も脳も、どちらもが行動の司令塔。
となると、皮膚と脳は、判断をすり合わせることになる。
→★このやり取りで、脳と皮膚が「共進化」
脳は皮膚の判断をベースにし、他の感覚器官との情報とをすり合わせして、指令を出す。(頭で考えるより先に、皮膚が判断。)
★哺乳類はこの皮膚感覚を発達させることで、知能を進化させてきた。
そしてスキンシップに胎生で得た親和物質・快感物質を付加して、皮膚感覚の発達→知能進化をより促進した。
親和機能△→皮膚感覚△→知能が発達→連携行動とれる・集団になれる→さらに知能が進化
・母乳と知能進化のかかわりは?
母乳は栄養分のほか、免疫/駆動物質/マイクロRNAと、機能形成を促進する物質が入っている。哺乳類の知能進化は後天的で、母乳はそれを促進する役割がある。
■性闘争と知能進化の関係は?
外敵闘争は、逃げるか、追うか(食うか)しかない。それだけなら、肉体進化だけで十分。
哺乳類の性闘争は、同類間の闘争。体格差といっても多少の差しかなく、僅差の闘い。
⇒両者にらみ合いの場面では、闘争の場数と判断力がものを言う。
肉体進化(体格△)だけでは適応にならない。
⇒その体を使いこなすための俊敏性・運動能力がセット。
(哺乳類は体の大きさと知能が比例。クジラ・ゾウ・ゴリラ…体は大きいが俊敏。)
性闘争は知能進化を加速させている。
しかし、性闘争はオスが中心。メス同士も性闘争はあるが、どう関係しているのか?
メスの性闘争は、子育てのための縄張り闘争、オスをひきつける闘争(挑発力)の二重性。
初期の序列は肉体的な差で決まったが、集団化するにつれ集団を統合する経験的な判断力・親和力が決め手になったのでは。
ゾウやキリンなどで老体の個体のリーダーが見られるのがその象徴。
メスにとって一番大事なのは生殖であり、だからこそ、親和の蓄積がある・子育ての判断力が高い個体がリーダーにもなる。
闘争上の判断力が強いオス × 生殖集団をまとめる親和力・判断力の優れたメス
★オスメス各々の個体間闘争で知能が進化!性闘争は知能進化の加速装置。
■哺乳類にとっての遊びとは?
ネズミのかくれんぼ、ウサギのボクシング…小さい哺乳類でも遊んでいる。
例えば、追いかけっこは、逃げる・狩り、じゃれ合いは性闘争、おしくらまんじゅうはスキンシップの訓練。
遊びは、集団行動/性闘争/親和行為に繋がっている。
つまり、遊びには、大人になっての必要な力すべて含まれているということ。
○なぜ後天的に身につけるのか?
例えば、魚は卵から孵った瞬間すぐに泳げる。しかし、人類をはじめ哺乳類は未熟で生まれ子育てする。
神経細胞は親から引き継ぐが、それを繋ぎ合わせるのは生まれ落ちてから。
後天的な訓練でその繋ぎ合わせを試行錯誤し、能力を獲得。
つまり脳回路は可変性があり、組み替え自由→いろいろな外部環境に柔軟に適応していける。
哺乳類はそういう戦略をとったということ。
☆そもそも知能とは?
脳は、「探索して判断して行動する」ためにある。
プログラム化されたものを吐き出すだけは知能ではない。
知能の知能たる所以は、状況によって組み替えられること。それは後天だからこそ獲得できる能力。
○なぜ遊びで身につけるようになったのか?
実施訓練や地獄の特訓でもなく…遊びで身につける。
哺乳類はまず母親を真似て、生きる能力を身に付ける。
だから哺乳類は自然に吸収していけるように、真似ること自体で充足する本能=真似充足本能を持っている。そして、真似の次に遊びがあり、遊び充足本能に繋がっていく。
☆後天的な訓練を、より楽しんで、主体的にできるようにセットされている。
集団本能・追従本能 + 親和充足本能
↓
真似充足本能
↓
遊び充足本能
能力を獲得できるのは、欠乏が高い=楽しいとき。真似・遊びは能力形成上に不可欠だからこそ、そこに充足をセットした。
そして、“もっともっと”と欠乏を高めることにより、能力形成を促進していった。(=イヤイヤやる勉強・仕事は知能進化に繋がらない。)
それまで生命の進化はDNA変異だったが、哺乳類は、このDNA進化に次ぐ、脳回路進化=知能進化という画期的な形式を手に入れた。
DNA進化は変異に時間がかかりイチかバチかの懸けだが、脳回路進化は、組み替えの自在さ(柔軟さ)×スピードにおいて優位。
そしてこの脳回路進化=知能進化は、共認機能、観念機能につながってゆく。
★共認機能・観念機能の土台は既に哺乳類の段階でできている!
★知能進化のベースは皮膚感覚(⇒スキンシップ)。それがなければその後の発達はない。
生命原理を追求するのは、我々が“何を守っていくか・変えていくか”、未来の行動を考えるため。
哺乳類の集団構造→知能進化から何を学ぶ?
・乳児期のスキンシップ・授乳が、どれだけ子供に影響を与えるか。
・幼少期における外遊びが、どれだけ重要か。親の囲い込み、過保護空間が、どれだけ能力を阻害しているか。
・女は、親和力をどれだけ高め、それを基盤に集団を作っていけるか。男は、より広い対象に向かって未知に挑戦し続け、人々の期待に応える創造競争で能力を磨けるか、にかかっている。