農薬も化学肥料も使わない「ほうれん草」づくり
●雑草を生えさせない仕組み
「農薬不使用」栽培をする中で、一番大変なのが「雑草」との戦いです。
手で雑草をひいていくのでは、多大な労力を必要とします。
そこで類農園では、「雑草を生やさせない」土壌づくりを行っています。
その一つが太陽熱を利用した「熱消毒」です。
ほうれん草の種を撒く前、畑に「ビニールシート」を張り巡らせ、ビニールハウスを密閉します。
太陽熱で暑くなったビニールハウス内の地温は、60~45℃前後になります。これにより地中の雑草の種や病原菌は死滅します。
有用な微生物は死滅させないように、熱消毒の期間や温度管理を徹底して行っています。
この一手間をかけることで、「雑草」との戦いは軽減され、労力を抑えることができます。
●微生物を活性化させて病害虫予防
病害虫を予防する一番の対応策は、作物を「病害虫に負けない」元気な状態に保つことです。
そのために必要になってくるのが、土中や葉の表面にいる微生物を活性化させることです。
土中の微生物が活性化することで、土は豊かになり、植物に栄養素を送ってくれます。
また、葉面の微生物は、葉をきれいに保ったり病原菌から葉を守ってくれる働きがあります。
そこで、類農園では、これら微生物を活性化させるため、市販の食品を使って作った「手作り発酵培養液」を使っています。

手作り発酵培養液
この培養液には、微生物のエサとなる「乳酸菌、納豆菌、酵母菌」が豊富に含まれており、これを散布することで、土中や葉の微生物が活性化し、作物を「病害虫に負けない」元気な状態に保ちます。
また、この発酵培養液は、かなり安価で作れるため、経費をかなり抑えることができ、販売価格を抑えることが可能になります。
(農薬は単価が高いため、農薬を使用しないで効率よく栽培を行った方が、結果的には経費を抑えることができます。)
万が一、病害虫の発生が確認されたら、広がりを防ぐため、速やかにその作物はビニールハウス内から全て持ち出しています。
●微生物を活性化させ、ほうれん草の収穫量アップ
類農園では、畑にいる有用な微生物を活性化させるために、有機堆肥である廃菌床を使っています。
廃菌床はには、有機物の分解能力の高いキノコ菌が入っており、短時間で土中の微生物を活性化させます。
これにより、ほうれん草の成長が高まり、農薬や化学肥料に頼らなくても、1つのハウスで【5回転/年】もほうれん草を生産することが出来ています。
また、収穫残渣等は、畑から持ち出さず十分に乾燥させ、微生物のエサに利用することで、資源を循環させています。
●徹底した管理により、夏場の「ほうれん草」栽培を実現
暑さに弱いほうれん草は、夏場は栽培できない野菜と言われています。
類農園では、葉の萎れや焼けを防止するため、日射しに応じてネットの透過性をかえたり、温湿度・地温を24時間記録し、適切な温度管理を行うことで、夏場のほうれん草づくりを実現しています。
また、一作終わるごとに、土壌分析を行い、適正な肥料分、ミネラル投入量を決め、過剰な肥料投入による軟弱化を防ぎ、植物の生命力を最大限に引き出すことで、暑さに負けない様にしています。
これら、類農園で日々追求していることは、農園内で完結させるだけでなく、積極的な情報発信や研修生の受け入れ等を通じて伝承を行っています。
今後も、栽培情報だけなく、その栽培にかける「志」などより本質的な情報をお伝えして、さらにみなさまの深いご期待に応えていきたいと思っています。