公益財団法人日本住宅・木材技術センター主催「令和7年度 都市木造建築技術実証事業」の成果報告会を実施しました
当社はこれまで取り組んでまいりました、公益財団法人日本住宅・木材技術センター主催「令和7年度 都市木造建築技術実証事業」について、2026年3月3日(火)の成果報告会をもちまして、終えました 。

本事業の取り組み内容
本事業では伊那食品工業株式会社 大阪支店で採用した、CLT屋根工法を発展させ、床版として採用できる工法(以下、「CLT中空床版工法」)の開発・普及に努めています。
CLT中空床版工法の開発により、これまでCLT単層では難しかった6mを超える、大スパン架構の実現が可能となります。また、今後の展望として工法の開発だけに留まらず、CLT架構表しの空間実現にも挑戦していく予定です。
実験概要
前述のCLT屋根工法と異なり、床版の実現には積載荷重が増えることによるたわみの増大などの課題があり、本実証事業を通じて、以下の内容で課題解決に取り組みました。加えて、開発中の工法を採用した試設計にも取り組みました。
・実大試験体の破壊実験:910mm×730mm×8190mmの試験体を比較のため、3本作成し、万能試験機による載荷実験により、曲げ強度のデータを取得します。試験体の制作は株式会社中東、実験は石川県の石川ウッドセンターにて協力を頂きました。
・解析モデル、海外規格との比較:実大試験にて得られた実験値を基に応力解析ソフトの構造モデルとの比較、欧州の規格「Eurocode5」との剛性比較を行いました。ここでEurocode5を用いた背景として、CLTの設計において日本の基準書では今回のCLT中空床版のモデル化及び解析することが難しく、CLTの建築への活用が進んでいる欧州(ヨーロッパ)の規格を基に構造解析モデルを作成し、剛性比較を行いました。そして、作成したモデルが実大試験で得られた実験値と概ね一致することを確認しました。
・まとめ:構造耐力上有効ではない範囲で設備機器を納めることを想定して検証を行いました。後述する矩計図の赤く囲んでいる梁型断面において、構造解析通りの性能が出るか実大サイズの試験体を用意し、30トン以上の荷重をかけて破壊性状を確認しました。



▲破壊実験動画
3月3日(火)の成果報告会では、検討を行ってきたCLT中空床版工法の可能性を提示し、委員の方々からも、その内容を高く評価していただきました 。
今回の実証事業では、もう一段検証が必要な課題も見つかりましたが、本事業以降も継続して補助事業の獲得や技術実証に挑戦していきます 。今後もCLT中空床版工法をはじめとする都市木造の普及を推進し、持続可能な建築社会の実現に貢献してまいります 。
開発中の工法を採用した試設計への挑戦
本工法を床版として使用するにあたり、木造学校での採用を想定し、3パターンの普通教室の一般的な広さ(8m×8m)の空間を柱・梁を出さずにCLT中空床版のみでスパンを飛ばせるように計画をしました。 加えて、「中空」であることを生かして、各教室に出てくる空調機や照明といった設備機器を中空床版の内部で納める検討等、意匠、構造、設備に至るまで総合的な魅力ある建築となるように考えています。
<試設計情報>
・用途:木造3階建て小学校
・モデル:普通教室
・参考:松田町立松田小学校




