中央区立晴海地域交流センター「はるみらい」は、東京2020年オリンピック・パラリンピック後の晴海地区の変容を見据え、中央清掃工場の地域還元施設をリノベーションした複合施設です。
住民が未来を創造する拠点づくりを目指して、中央区と共同開催した住民参加型のワークショップ「共創スタジオ」を行い、スポーツ・文化・学びなどの多様な活動ができる新たな地域拠点を、中央区・住民と共につくりました。
竣工後も類設計室の教育事業部が展開する「はるみらい こども建築塾」を半年に1度開催しています。竣工後の運用段階に設計事務所が関わることで、地域拠点としての新たな使い方を示し、建物を使い続けていく仕組みづくりにつなげています。
湾岸埋立地の晴海地区は、市庁舎移転や戦争の輸送基地、モーターショーの開催、時代に応じて様々な計画が実現され、そのなかで地域コミュニティも変容してきた新陳代謝の歴史を持っています。さらに、東京2020年オリンピック・パラリンピック等の社会情勢に応じて新たに1万2千人が住まうなど、再び地域コミュニティの変容が予想されています。
このように変容し続ける晴海地区には、新旧の住民が自然と集い、新たな地域コミュニティが形成できる地域拠点が必要だと考えました。そこで、「いつも晴れた海を望む」という地名の由来を大切に社会のどんな変化に対しても「いつもミライをつくりだす街」を目指して、昔から住民に愛されてきた既存施設(ほっとプラザ晴海)を地域交流拠点としてリノベーションしました。
新旧の住民が自然と集える地域拠点とするためには、ユーザーの生々しい声を集めることが重要です。そこで、本プロジェクトでは、計6回にわたる中央区庁内や地域住民との地域参加型ワークショップを実施しました。共創スタジオは、類設計室が独自に組み立てたプロジェクト推進の手法です。プロジェクトに関わる事業者やユーザーとまちのありたい姿から新たな施設像を共に創ることで、まちづくりの環を広げていきます。
はるみらいの共創スタジオでは、「いつもミライをつくりだす街」の実現に向けて、これからもみんなで育て続けられる空間を目指しました。そこで、懐かしさと新しさを兼ね備えた6つのデザインルールを地域住民の皆様と共に定めました。
【6つのデザインルール】①綺麗すぎない雰囲気、②木や黒基調のインテリア、③オープンとクローズのバランス、④複数の素材感・カラー、⑤参加したくなる設え、⑥みんなで育てる展示空間
地域住民も区も設計者も、一体で共に創るプロジェクト推進の手法は、中央区の描く将来像=「プロアクティブ・コミュニティ」(自ら率先して地域における課題を解決し、快適な暮らしを実現していく社会)の実践基盤として継承され、竣工後は区と地域住民が主体となって共創スタジオを開催しています。弊社が共創スタジオにより目指していた「まちづくりの環を広げる」ことが実現できたのです。
新旧の多世代が集い、繋がることで多様な活動が生まれる「懐かしくて新しいみんなの家」を目指して、居心地や集い方が多様な「スタジオ空間」を各フロアに配置しました。
1階は“交流”をテーマに、のような設えとしています。
1階を中心として、2階は“食と学習”、3階は“健康増進と文化活動”、屋上階は“育む”をテーマに、「多世代交流スタジオ」「展示スタジオ」「野菜スタジオ」「キッズスタジオ」など、新旧の多世代が集い、交流する仕掛けとして多種多様な21種類のスタジオ空間を建物全体に配置しています。
さらに、利用者の交流を促進するために建物中央に各スタジオを見渡せる大階段を計画しています。各スタジオを上下移動する主動線に対して開くことで、互いの活動が見える、活気あふれる空間とし、新たな地域コミュニティの形成を促進しています。
はるみらいは、SDGsに配慮した持続可能な地域コミュニティへの新たな価値を創出するために、隣接する中央清掃工場の余熱蒸気の活用と周辺施設へのエネルギー供給のシステム「サーマルアップサイクル」を導入しました。
余熱蒸気の循環効率を高めるため、熱源に廃熱利用吸収式冷温水発生機(ジェネリンク)を導入しました。ジェネリンクは空調用冷水を生成しながら、約17%の廃熱を回収し省エネ化しています。暖房時の温水を余熱利用で100%賄うなど、約41%の空調エネルギーの削減を試算しています。さらに、当施設を経由して隣接する小中学校にも余熱を送り、活用するエネルギー供給のハブ施設となっています。
私たちは、設計事務所として竣工後の運用段階に関わることで、持続性のあるまちづくりに貢献できると考えています。そこで、はるみらいでは、類設計室の多事業経営を活かした教育事業部の「こども建築塾」と、をつくろう」をテーマとして、模型づくりに挑戦しました。
こども建築塾は、建築をテーマに、自ら学び、考え、みんなで課題を解決する力を育んでいくことが目的です。設計事務設計者と巡る「建築ツアー」を中央区及び、指定管理者へ提案し、開催することができました。第1
竣工後に開催した回「こども建築塾」では小学校4年生から高校生の20名が「みんなが集まる広くて大きい空間所の枠を超えたこのような活動により、はるみらいで学ぶこどもたちが「いつもミライをつくりだす人」となることを願い、今後も関わり続けていきます。
のむら・とおる
東京設計室 ディレクター/監理部 部長
1964年愛知県生まれ。1987年京都工芸繊維大学住環境学科卒業 同年類設計室入社
1964年愛知県生まれ。1987年京都工芸繊維大学住環境学科卒業 同年類設計室入社
おおかわ・たいき
東京設計室 監理部
1991年福岡県生まれ 2014年有明工業高等専門学校専攻科修了 2016年筑波大学大学院社会工学先行修了 同年類設計室入社
1991年福岡県生まれ 2014年有明工業高等専門学校専攻科修了 2016年筑波大学大学院社会工学先行修了 同年類設計室入社
事業構想、設計業務、施設運用に関することなどお気軽にお問い合わせください。
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