
「本の森ちゅうおう」は、中央区の京橋図書館・郷土資料館・多目的ホール・カフェ等からなる複合施設です。区が掲げる公共施設群を緑で繋ぐビジョンに共鳴し、これを進展させる「共に創る森」をコンセプトに、大都市東京の真ん中で歴史・文化に親しみながら、訪れる人びとが共につくり育てていく森になることを目指して設計しました。図書館の豊富な知の集積・江戸以来の潤沢な歴史や文化・生涯学習機能が相互に連携し、森のように多彩な空間を巡り移動しながら、未知なる本の世界や人と出会い、触発されることで、新しいつながりやワクワク感・創造的な活動が営まれる場所を生み出したいと考えました。多層化した複合機能を統合するために「森林生態系の摂理」に範を求めました。建築内外のさまざまな場所と機能が融合し、自然の光や風と一体となり、緩やかに秩序化される様相をデザインとしています。
配置計画は、北側の地下構造物上部に地域の緑と連続する「つどいの森」をつくり、建物を南に寄せることで、北面間接光があふれ、開放的で常に緑が近い図書空間を実現しています。機能ゾーニングは、1階にはエントランス・多目的ホール、双方向の映像展示を主とした郷土資料館、広場に面するカフェを配置、2階は森と繋がるこどもコーナー、地域資料室と企画展示の博物館機能を隣接させました。3階は図書館のメインフロアで、雑誌・ティーンズ・一般書・貴重本展示に加え電子新間で読者をサポート。5階には交流活動室やラウンジも備え、屋上庭園には展望台を設置しました。
このように機能融合しながら積層する各フロアは「森の階層構造」に倣い、1階は「林床」、2階は「草本層」最上部は「林冠」と位置付け、高さ・明るさ・色彩惑・照明の色温度を変化させ、直感的に居場所が分かるデザインとしました。そして、「つどいの森」に面した不連続な階段が各階を繋ぎ、新しい本や人びとに触れ合いながら、刺激的な探索の旅にいざないます。
この「森」が世界から人を呼び込む「知の森」となり、人びとの活力を引き上げ、共創を促す拠点になることを期待しています。
事業構想、設計業務、施設運用に関することなどお気軽にお問い合わせください。
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